障害福祉施設への生成AI導入実証事業 最終成果報告会を開催しました
2026年8月24日
ニュースリリース

にいがたAIビジネス株式会社は2026年8月24日(月)、一般社団法人 全国介護事業者連盟 障害福祉事業部会 新潟県支部と共同で進めてきた「障害福祉施設への生成AI導入実証事業」の最終成果報告会を、新潟市役所(新潟市議会 全員協議会室)にて開催しました。
行政・議会・報道関係者、県内の障害福祉事業者の皆さまにご参加いただき、実証に取り組んだ3法人が、それぞれの現場で起きた変化を自らの言葉で報告しました。
【背景と目的】
新潟県内の障害福祉施設では、職員の高齢化や短時間勤務者の増加が進んでいます。その一方で、日々の支援記録の作成、利用者情報の引き継ぎ、支援手順の確認といった書類業務が、利用者と向き合う時間を圧迫していました。
生成AIへの関心は高いものの、「どの業務に、どこまで使ってよいのか」がわからず、試行錯誤が続いている——本事業は、その状態を前に進めるために立ち上がりました。
目的は、業務の効率化そのものではありません。効率化で浮いた時間を、利用者への支援に直接振り向けること。そして、施設種別を問わず横展開できる「型」をつくることです。
【実証事業の概要】
項目 | 内容 |
実証期間 | 2026年4月〜8月(研修実施は5月〜7月) |
参加法人 | 特定非営利活動法人あおぞら/株式会社ingrow/株式会社NSGソシアルサポート |
実施内容 | にいがたAIビジネスによる全5回・計10時間の研修と、個別課題に応じた伴走支援 |
効果測定 | 研修前のベースライン計測と研修後の業務時間の比較、アンケート |
就労支援、児童発達支援・放課後等デイサービス、グループホーム、相談支援と、サービス種別の異なる3法 人にご参加いただきました。研修は第1回でセキュリティと個人情報の取り扱いを扱い、第5回で法人のAI利用ガイドラインの考え方まで踏み込む構成としました。第3回・第4回は各法人を個別に訪問し、実際のデータを用いて、その施設が一番解決したい課題に特化した内容で実施しています。
なお、3法人はいずれも実証開始前からAIを導入済みでした。本事業の役割は「AIを始めること」ではなく、すでに動き出していた取り組みを成果に結びつけ、体系化することにありました
【報告された成果】
「書類作成にかかる時間が、おおむね半分に」
3法人に共通していたのは、正確さを求められる書類業務の負担でした。個別支援計画の素案づくり、日々の支援記録、電話相談の記録、担当者会議録——いずれも「後回しにできないが、時間がかかる」業務です。
実証を通じて、これらの計画・記録類の作成時間はおおむね5割程度の削減が確認されました。サービス種別が異なっても同水準の効果が得られたことは、本事業にとって大きな確認事項です。AIを扱うスキルは施設種別に依存せず、一度習得すれば業務が変わっても応用できる。この点が実証によって裏づけられました。
「数字に表れない、支援の質の変化」
成果報告会で各法人から語られたのは、削減時間よりもむしろ「支援の質」に関する変化でした。
視覚障害のある利用者へのメールを、読み上げ機能で伝わりやすい文章に整えられるようになった
録音からの文字起こしにより、日をまたいで記憶が薄れても正確な記録を残せるようになった
新人職員でも一定品質の書類が作れるようになり、スキルの標準化につながった
自分に足りない視点を拾えることで、質の高い支援につながると感じた
記録・計画の文章の質そのものが向上した
効率化のためのAIが、これまで手が回らなかった一人ひとりへの配慮を可能にする。「浮いた時間を支援に振り向ける」という目的に、時間の面だけでなく、質の面からも近づいた形です。
「現場が正直に共有した課題」
一方で、各法人からは課題も率直に共有されました。
個人情報を含む業務への活用範囲の判断が難しく、セキュリティ面の不安が残る
職員によってAIの活用度にばらつきがあり、全員への定着が今後の課題
AIの出力を過信するリスクがあり、確認を省略しない意識づけが必要
要約されすぎて大事にしたい点が抜け落ちることがあり、専門職としての視点を持った判断が不可欠
AIに任せられる作業を切り出し、人が判断すべき部分を人の手元に残す。その線引きを法人ごとにどう設計するかが、次の段階の論点であることが浮き彫りになりました。
【意見交換で挙がった論点】
報告のあとには、参加者との意見交換を行いました。中心となったのは次の4点です。
制度・基準 — 支援記録の作成にAIを使うことは制度上どこまで許容されるのか
個人情報の取り扱い — 入力してよい情報の線引きと運用ルールをどう定めるか
横展開と費用 — 他事業所へどう広げるか、初期投資の負担をどう考えるか
支援の質への影響 — 効率化が支援の質に与える影響をどう見るか
参加法人からは、AI活用のルールづくりや導入初期費用への支援など、行政の取り組みへの期待も寄せられました。
【今後について】
本事業は、当初の公表目標として掲げた主要指標について、おおむね達成を確認できました。ただし、削減した時間が実際にどれだけ利用者支援に転換されたか、そして3か月後・半年後も活用が続いているかは、これからの検証課題です。継続的に観測を行ってまいります。
にいがたAIビジネス株式会社は、本事業で得られた知見を「障害福祉事業における生成AI活用モデル」として整理し、県内の他事業所へも横展開できる形にしてまいります。福祉の現場で働く方々が、人にしかできない支援に時間を使える環境づくりを、これからも支えてまいります。
ご参加・ご協力いただいた皆さま、そして4か月にわたり真摯に実証に取り組んでくださった3法人の皆さまに、心より御礼申し上げます。
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BSNニュース: 障害福祉共同実証事業をスタートしました(2026年4月17日) 読売新 聞朝刊:2026年8月25日 掲載
新潟日報:Coming soon
